第十七話「【出張ドッグシャンプー】起業を成し遂げるために必要な時間」の続きです。
洗面台の鏡の中にいる自分の顔をじっと見つめていた。
「なんて顔してんだか...(^^;)」
そこには無精ひげを蓄えた中年男の顔。
ただその表情は晴れやかだ。
「この二週間で『これだ!』と思えるビジネスが見つからなければ起業はあきらめよう・・・」
ボクはそう決めていた。
どうせ起業するなら、たこ焼き屋の店主やボクシングジムを開業する友人がそうしたように、『自分が楽しいと思える仕事』。
その気持ちはますます強くなっていた。
自室にこもり、これまでに読み溜めた起業に関する本や雑誌、情報を書き留めたノートなどを読み返す。
少しでも気になったビジネスがあれば、Webで徹底的にリサーチ。
そうこうしているうちに、あっという間に一週間。
ずっと自室に引きこもっているボクを心配して、妻が外出しようと誘ってくれた。
ボクも息苦しさを感じていたので彼女の提案を受け入れ、数年前に亡くなった我が家の愛犬「コロ」の墓参りへ行くことに。
コロは小型犬の雑種で、愛想が良くとても可愛らしい子だった。
ちょっと神経質なところがありペットサロンが苦手。
狭いケージの中で長い時間待たされるのが、彼にとってはストレスでしかないようで、ペットサロンから帰ってくると必ずと言っていいほど体調を崩してしまう。
なので日頃のシャンプーは、自宅の風呂場ですることがほとんどだった。
気持ち良さそうにボクに洗われているコロの姿が懐かしい(^^)
墓参りの帰り道、妻とそんな思い出話をしながら、ちょっとした疑問が生まれた。
「コロのように何かの事情でペットサロンを利用できない人は、みんなどうしてんだろう?」
妻は「自宅でシャンプーしてんのよ。」と簡単に言っていたが、どうしても気になり家に戻ってからさっそくこの疑問について調べてみた。
そもそもペットサロンを利用できない理由がさまざまで、コロのような場合もあれば、車に酔うので連れて行けなかったり、老犬であることを理由に断られることもあるようだ。
ペットサロンが利用できないとなると、やはり自宅でシャンプーをしているようだが、みんなとても苦労しているらしい。
ボクにも経験があるから分かるのだが、全身毛むくじゃらなので洗うのも乾かすのも時間が掛かるし、抜け毛でお風呂場が毛だらけになる。
コロのように小型犬ならまだしも、大型犬ならなおさらだろう。
それに加えて爪切りや耳掃除のケアもある。
これにはケアする側もされる側も慣れが必要で、失敗すると痛みが伴う。
ボクは自己流でケア出来ていたが、それが出来ない人はきっと困っているだろう。
「自宅で犬をシャンプーしてくれるサービスがあれば喜ばれるだろうな~」
そう思ってWebで調べてみるとやっぱりあった!
『訪問トリミングサービス』
プロが自宅に来てくれて、自宅の風呂場や洗面所でシャンプーやカット、爪切りや耳掃除をしてくれるサービス。
犬にも飼い主にも負担が少ない。
「これ、いいビジネスモデルだな~」
率直に興味が湧いた。
ボクには犬の毛をカットするトリミング技術はないけど、それ以外のシャンプーや爪切りなどは出来る。
そして、折り紙付きの犬好き。
「これならいけるかも!」
ボクは直感的にそう思った。
休暇は残り一週間。
ここからボクは何かに取り憑かれたかのように、寝る間を惜しんでビジネスアイデアを練り上げた。
自分として納得のいくものが出来上がったのは休暇最終日の朝。
窓からはキラキラと朝日が差し込み清々しい。
洗面台の鏡を覗き込みながら無精ひげを剃り、身も心も晴れやかだ。
既存のものとは一線を画す『出張ドッグシャンプービジネス』
「これが現実のものとなれば、自分が楽しいと思える仕事が手に入る!」
そんな希望に満ち溢れていた。
第十八話「【出張ドッグシャンプー】起業のアイディアは生活の中に存在した」を最後まで読んでいただきありがとうございました。
犬の飼い主として普段の生活から得られた経験や体験を仕事にすることを考えたボク。
それを実現出来たのは、またもや貴重な出会いがあったからなのですが、それについては次回以降にお話させていただきますのでおたのしみに~(^^)
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