【出張ドッグシャンプー】仕事が楽しいと言い切る起業家

第九話「【出張ドッグシャンプー】絶望の会社員が起業家と出会った日」続きです。


雨模様の夕方。

衝撃のひと言で、ボクは独りたたずむことになる・・・


 

あれからというもの、たこ焼き屋の店主のことがずっと気になっている。

 

彼が作るたこ焼きの味は、個人的には美味しいと思うけれど、抜群とまでは言えない。

それでも、開店して数か月が経つのに客足が絶えることなく繁盛している。

常連客と楽しげに会話しながら仕事をしている姿が、羨ましく感じた。

 

ボクはここ数年、仕事が楽しいと思ったことがない。

完全に会社の歯車に成り下がっている。

楽しもうと思う気力さえない。

 

それなりに仕事をしていれば、自動的に給料が振り込まれる。

今はただ惰性で仕事をこなしているだけなのかもしれない。

 

以前友人に相談した時、諭されたことがある。

 

「会社に雇われているんだから、上司や同僚との軋轢なんて当たり前だよ。」

「我慢すればそれで丸く収まる。」

「それがサラリーマンの宿命だ。」と・・・

 

理解できなくもないが、腑に落ちない。

ずっと我慢しながら定年を迎えるなんて、考えるだけ憂鬱になる。

 

そんなことを考えながら、会社帰りに地元の商店街を歩いていた。

ここにはたこ焼き屋の他にも、ラーメン屋や中華料理店、美容室や花屋など、さまざまな店が軒を連ねている。

そのほとんどが自営業。

ボクがこの街に越して来てから十数年、どの店もそれなりに繁盛している。

この商店街から起業のヒントを何かしら得られるような気がした。

 

その流れで例のたこ焼き屋に立ち寄ってみると、めずらしく客はボク一人だけ。

雨が降っているからだろう。

 

「いらっしゃ~い!」

「今日は早いじゃないですか!?」

 

店主はボクに気づき、いつもの様に笑顔で出迎える。

直接客先から帰ってきたので、いつもより早い時間になった。

 

息子達お気に入りの明太マヨたこ焼きを注文。

彼はボクとの雑談を楽しみながら、手際よく鉄板からアツアツのたこ焼きを取り出し、その上に特製のソースをさっとかけて、あっという間に完成させた。

 

商品を受け取るタイミングで、ずっと気になっていたことを思い切って尋ねてみた。

 

「いつも楽しそうに仕事をしてますね?」

 

すると彼は、

 

「こんなに楽しい仕事はないですから!」

 

と、屈託のない笑顔でさらっと答えた。

 

その答えに、衝撃を受けた。

 

今のボクには全く理解できない。

どうしたらそんな風に思えるのだろう。

ボクも彼のように感じることができる日が来るのだろうか・・・

考えがまとまらず、しばらくその場にたたずんだ。

 

この半年後にボクは、楽しいと思える仕事に出会うのだが、その時点ではまだそのことを知る由もなかった。
 


第十話「【出張ドッグシャンプー】仕事が楽しいと言い切る起業家」を最後まで読んでいただきありがとうございました。

楽しいと思える仕事に出会えたら最高ですね!

 

最後にひとつだけ。

あなたは犬が好きですか?-その答えが「YES!」なら、出張ドッグシャンプーはあなたにとって最適な仕事です。
 

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